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起死回生なるか

ここ2、3日の間は、決して力まず、その代わり油断もせず、大きな落とし穴の壁に引っかかっていた。
それが昨日ちょっと無理をして、自力で少し遠くにあるいつもの病院に行った。

月に一回の検診だから、先回は二月の上旬だったということになる。
この時はまだ元気で、病院から初めて一人で足を伸ばして甲斐双葉にあるショッピングモールへ
行った。

ここにはわたしの好きなブランドのバック屋さんがあるし、無印やユニクロやろいろあって好きな
ポイントなんだけど、よほど体調が良くないと人いきれで参ってしまう。

で、先回行った時は、まず、ドトールでサンドイッチと豆乳ラテを摂ってからおもむろに例のバック
屋さんに行き、夫の財布を選んだ。

夫は身の周りのものにあまり構わない人なので、未だに15年くらい前に買ってあげた財布を
ボロボロのまま使っている。

財布は新年ごとに買い替えるものだと知っていたけど、そんな贅沢ができる身分ではないし、第一
「買ってあげた」と言っても代金は夫の口座から落ちる仕組みになっていた。

今は違う。
ごく少額だけど、私個人名義で一定額厚生年金が振り込まれるし、障害者年金も入る。
堂々と、いい財布を買ってあげられるのだ。

元はと言えば、障害者年金を受給できるように手続きをしてくれたのは夫なのでそのお礼の意味もある。
で、すぐに思い通りのものが見つかり、プレゼント用に包装もしてもらって満足して帰った。

それが今回は、たった一ヶ月の間に大した事件があったわけでもないのに、えらくしんどい。

病院の帰りにどこかに立ち寄ることなど考えられもせず、小淵沢からタクシーで帰った。
中央本線の下りは小淵沢から先がとても便が悪い。1時間の待ち合わせ中に何がどうなるか
怖かった。

で、昨夜はおでんの鍋に入れたゆで卵を食べただけで、今日は昼食も摂らず安定剤をを嚥下して
うとうとしていたら、どんどんテンションが落ちて、ちょっとやばい状態になっていった。

体調の良さに浮かれてピョンピョンしていると、突然大きな落とし穴に落ちるのが私の病の特徴でも
あるのだけど、今回は気を付けていたつもりでもやっぱり落ちた。

落ちた穴の壁にしがみついていても足先が底にふれてしまう。

希死念慮。

ただむやみに死にたいと思うのと違って、底から包み込まれるようにこの化け物に触れてしまうと
よほどでないと逃げ切れない。

側の迷惑やその後の始末などまったく眼中には無くなって、ただ一直線に目的を遂げようとする。


以前、福島でのプロジェクトが余りにも重くなった時、事務室のある二階への階段が登れなくなった
ことがある。

新聞記者をしていた友人に相談してメンタルクリニックに行ったら、「まあ、忙しすぎたんでしょう
から半年間、完全休養をすること、薬は一応渡しますが、飲まなくてもいいです。そして一番身近な
人にこれを見せること」と渡されたリーフレットには、重い鬱になると死を選ぶことが多い。そう
ならないように身近な人が注意することがいくつも書かれていたけれど、私はだまって自分でそのリーフ
レットを始末した。

そして渡された薬は使わないまま半年の休養後、無事復活した。

そんなものなんだなあ、といろいろ感じることはあったけど、細かいことは忘れてしまった。

それが昨年の夏の最悪の症状の時、この落とし穴の底にあるものに2回襲われた。
入院中は病院の方でそういうことが起こらないような対処をしているけれど、怖いのは転院
するための短い退院期間だ。

思い出すのも怖いのでこれ以上この事を書くのはやめておくけれど、こういう事が起き得る
という事実は私自身が身に沁みている。

で、ベッドの上で恐ろしい感情と戦っていると、突然息子が声をかけてくれた。
今なら買い物に行けるというのだ。

食品の買い物に行かなければならないけど、行くに行けない状態だったから、正に天の声。
何も考えずにすぐに身支度して買い物に行き、なんとか焼き魚定食みたいなのを作って
十分に食べたら、少し楽になった。

そして、XJAPANのCDを回しながらこれを書いている。
半分無理に読まされる人たちに迷惑千万なのは承知だけど、書いている時が少し救われる。
私に書く事を勧めてくれた何人かの人達に改めてお礼を言いたい

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森茉莉の本を読む元気もなかったので、電車や病院での待合のために瀬戸内寂聴と石原慎太郎の
往復書簡を文庫にしたのを持参した。

元気ではなかったから流し読みにしていたが、「アイデンティティ」や、「自己解放」という言葉
が目に止まった。

何かそれらしいものが私にも見つかったかもしれないのだ。





by derumaku | 2018-03-06 22:13 | 日々のこと